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行政指導の効用と限界!

こんにちは、中堅大学生です。

 

今回は、前回投稿したレポートの中でも行政指導について深ぼりしたレポートを公開しようと思います。

 

『行政指導とは、法律上に根拠がなくても、国、自治体が一定の政策目的達成のために自由に行うことができるソフトな行政活動であり、非権力的事実行為である。根拠条文としては、行政手続法2条の6「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」が挙げられる。ここでの「特定の者」は私人であるから、上級行政機関が下級行政機関に対して行う指導は除外されるうえ、「一定の作為又は不作為を求める」という部分から、例えばノーアクションレターに対する行政機関の回答は、私人に行為を求めるものではないから行政指導には含まれないとしている。
行政指導の種類について、規制的行政指導、助成的行政指導、調整的行政指導が挙げられる。
規制的行政指導とは、相手方の権利関係に大きな影響を及ぼす可能性のある行政指導である。
例えば、国の行政機関である厚生労働大臣が、職業安定法48条の2という法律上の根拠規定に基づき、入社エントリー時に受験料を徴収していたある会社に、徴収の中止を求めること、公害防止のための行為の是正要求などが規制的行政指導の例としてあげられる。職業安定法48条2項のように、法律上の根拠に基づく規制的行政指導もあるが、法律上の根拠なしに行われる行政指導も多くある。このような場合に、相手方に自主的な善処の機会を与えるために、いきなり法的な義務は課さず、相手方の意思を尊重する形の事前型行政指導というものがある。他にも、判例通説では、法律に根拠を有さず私人に対し規制をかける法定外規制的行政指導は、行政機関が行政需要の変動に臨機応変に対応する必要性から、一定の範囲内においてのみ許容されるとされている。
助成的行政指導とは、相手方に対して利益となる方向で給付を行うことによって、公益を促したり、本人の利益を実現する行政指導である。例えば、ある地方公共団体の職員が、木造住宅の耐震補強を通じた防災、減災という公益の実現につながる行為を行おうとしている市民に対して、費用補助の情報を提供することや、新型コロナウイルスによる生活困窮者に対する自立支援制度の情報提供、職業安定法8条に基づく公共職業安定所ハローワークによる求職者への職業指導などが助成的行政指導の例としてあげられる。
調整的行政指導とは、私人間の利益が衝突しうる場合に、紛争を予防しまたは解決する方向で介入する行政指導である。

事例としては、ある地方公共団体の職員が、建設会社と周辺住民の紛争を解決するために、その建設会社に対して周辺住民の話し合いや建設物の高さの再検討という妥協を求めることや、小売商業調整特別措置法15条、16条の3、17条に基づく小売市場開設者または小売商と周辺地域内の中小小売商との紛争に対する都道府県知事の斡旋、調停、勧告などが挙げられる。この建設に関する事例は、1960年後半以降に、大都市への人口集中による高層マンション開発、すなわち住宅需要が発生していることが原因と考えられる。このような問題を解決するために、行政機関の内部で明文化された一定の基準によって行われる行政活動が行われるようになった。これを要項行政と呼び、その基準は地方公共団体の長による告示、訓令の形式がとられ、正式な法形式をとらないことも多々あったことから、これは行政指導の性質をもつものであると解されている。
このような行政指導の中でも法律上の根拠があるものに限っては、行政手続法36条の2第1項に基づく中止要求ができるとされている。この要求、もしくは申出があり、かつ必要な調査を行政が行い、その行政指導が法律上に定める要件に一致しない場合、行政は同条3項に基づく行政指導の中止、その他必要な措置をとることが義務付けられている。
ここまでの説明から、行政指導を行うことができる範囲がとても広大であるようにも考えられる。しかしながら、行政指導の限界について、次の点があげられる。まず、行政手続法32条1項「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」は、行政指導が所掌事務の範囲を逸脱してはならないと定めているから、逆説的に考えると、この所掌事務の範囲が行政指導の限界と考えることができる。他にも、行政指導は法律に根拠を必要としないが、憲法基本的人権の尊重の原理や、憲法14条の平等原則、および比例原則などには当然に準ずるとされている。また、行政手続法33条「申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。」の「当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない」と定められている部分や、同条34条「許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。」の「相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。」と定められている部分から、行政指導は相手方の承諾の意思表示がおよぶ範囲が限界であると考えられる。
このように、行政指導は、相手方である私人の任意の協力を前提とする行為形式であり、法律に根拠がなくても公益上必要と判断される場面では、臨機応変に活用することができる非権力的事実行為である。しかしながら、憲法や行政指導に関する法律に違反する指導や、相手方の意思に反する指導はできず、ここが行政指導の限界であると考えることができる。』

 

このような内容になっています。

 

2500字程度の内容になっています。

 

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